犬がしっぽを振るという行動は誰もが目にしたことがあると思います。
しっぽを大きく振って走ってきたりすると、なんとなく喜んでいるということはわかりますが、しっぽが下を向いたり、いつもになく上を向いてピンと立っていたりするときは一体どのような感情を抱いているのでしょうか。
また、しっぽはどんな役割を果たしているのかについてこの記事では詳しく紹介しようと思います。
犬の“しっぽ”は何のためにある?
そもそも生まれた時から体の一部として存在しているものだから“しっぽ”が犬にとって重要なパーツなのは間違いありません。
では、いったいどんな役割を担っているのでしょうか?
“しっぽ”の主な役割は3つあります。。
感情を表現する
一般的にも認知度が高いですが、犬は自分の感情を伝えるために“しっぽ”の動きや位置で相手に自分の気持ちを伝えています。
例えば嬉しい時の “しっぽ”の動きは、ピンと上に尻尾を立ててブンブン左右に振ったりします。
リラックスしてるときなんかは下にだら~んと垂らして、ゆっくり左右に振ったり、恐怖を感じている時には自分のお腹を守るように尻尾を丸めたりなど様々な感情を表すために“しっぽ”を使っています。
本来犬は、集団生活をする生き物なので仲間同士のコミュケーションのためにも“しっぽ”での感情表現が発達していったのでしょう。
バランスを取るため
“しっぽ”は体全体のバランスを取る役割も持っています。
人間から見たらわかりづらいかもしれませんが、走ったり旋回する時々に応じてうまくバランスを取るようにできています。
狭いところを歩く時や、飛んだり跳ねたりする時も転ばないのはしっぽでバランスを取っているからです。
また、水の中を泳ぐときにはあごで方向を決め、しっぽで舵を取るという役割も果たしています。
身体を温めるため
“しっぽ”には寒さから体温が下がるのを防ぐ役目もあります。
愛犬が丸まって寝ているのを一度は見たことがあるかと思いますが、そのときに尻尾も一緒に巻き付けいるのですが、その中間に口を挟んで冷たい空気を体内に入れないようにし、体が冷えないようにしています。
そのため、寒い地方で生まれた犬種などはフサフサとした特徴のある“しっぽ”を持っています。
犬の“しっぽ”を切る「断尾」という習慣
ちょっと話はそれますが…
犬種によっては「断尾」という“しっぽ”を切る習慣があります。
まだ目も開いていない仔犬(生後2~5日)の尻尾を人間が根元や中間部から切り落として短くしてしまう行為です。
そして断尾をする習慣がある犬種は実に50種以上にもなります。
断尾の歴史は古く現在と過去では目的も理由も全然違います。
全部話すと長いので今回は現代の断尾をする理由について簡単に説明していきます。
現代の断尾には医学的な目的と美容的な目的の2つあります。
まず医学的な目的としては、作業犬が行う様々な仕事の中には尻尾を怪我するリスクがあるため先に断尾してそのリスクを減らそうというもの。
例えば牧羊犬なんかは馬や牛にしっぽを踏まれる事もあるため、それを防ぐために断尾行ったりします。
そして美容的な目的とは「犬種標準(スタンダード)」と呼ばれる “その犬の理想的な姿を規定とした基準”に基づいて断尾を行うというものです。
要は、「この犬種の理想の形に尻尾の長さが邪魔だから切ってしまおう」ということです。
「人間の勝手で尻尾を切るなんて酷い!」という意見は勿論たくさんあります。
ただ、「断尾はするべきだ」という意見もたくさんあるんです。
この問題はいまだに論争が繰り広げられていますがスペインはすでに断尾自体「違法」となっています。(※2020年8月現在日本はまだ法整備はされていません)
個人的には現代でペットとして飼われる犬に対して必要な行為とはとても思えません。
私も断尾が習慣になっているトイプードルと生活を共にしていますが、「断尾」という事実を知った時は「本当は尻尾がちゃんとあったら、もっと気持ちよく走れたり、もっと感情表現豊かになっていたのではないか?」と、どうしても思ってしまいます。
ブリーダーさんから購入する場合、「断尾しないでくれ」と頼むこともできますので、習慣化されている犬種を迎え入れようと考えている方は是非参考にしてください。
しっぽの動きで読み取れる犬のサイン
さて、話を戻しましょう!
先程紹介したように犬がしっぽを振ったり動かしたりすることにはちゃんと意味があり、犬がなにかのメッセージを伝えようとしている証拠です。
犬のしっぽがどのような動きをしたときにどんな意味で出しているサインなのか、しっぽの動きの意味を知っておけば犬の気持ちにより寄り添ってあげることができます!
また、愛犬の異常にもいち早く気づくことができることもあるので、犬を飼う上で知っておいて損はありません。
それでは具体的に代表例を見ていきましょう。
素早く激しくしっぽを横に振る時
飼い主が家に帰ってきたときなどによく見る行動ですが、これは興奮している時に見せる行動です。
その時々によって感情は様々ですが、「嬉しい」という気持ちを表すときにこの行動を取ることが多いです。
“しっぽ”だけでなく体を少し丸めながら腰ごとブンブン振っている時は「嬉しくて甘えたい」という表れです。
ちなみに怒っている時も“しっぽ”を振ることがありますので
まっすぐに伸びて動かない時
散歩をしている時などに遠くから他の犬が近づいてきたり、何か気になるものがあった時に見せる動きです。
威嚇をしていたり恐怖心があるわけではありませんが、何かに注意したり気になっているというサインです。
上がった“しっぽ”の先が斜め上を向いている
強気な性格の犬の場合によく見られる動きで、自分の思い通りに事が運ぶことを期待している時に表れます。
自分のしっぽを追いかけてぐるぐる回っている時
犬が自分のしっぽを追いかけてぐるぐる回っている時は強いストレスを感じている時に見せる行動だと言われています。
運動不足や体の不調など、犬は思っていても人間に言葉で伝えることができないためストレスが溜まってしまうと考えられます。
もしこのような行動が見られた場合は普段以上に注意して見てあげるようにしてください。
犬種や性格によって尻尾の動きは異なる
今までの流れで身もふたもありませんが、実は結局のところ犬の気持ちを“しっぽ”ひとつで全て理解するのは不可能です。
例えば尻尾が高く上がり軽く振っている場合、オオカミに近い犬種であれば「威嚇」を表しますが他の犬種だと「愛情や敬意」を表してる場合もあるのです。
また、尻尾の平均的な位置や高さ、振り方も犬種によって変わってきます。
そしてその犬種の中でも個性によって上がり具合や振り方も異なってくるので、あくまで上記のことは目安とするだけにして日頃からよく愛犬を観察して表情や尻尾の動きなど総合的に判断して表現を見逃さないようにしてあげるのをオススメします。
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